📓ブランド人になれ!

自己啓発・研鑽
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見たことのあるタイトル

数年前のこと、書店で偶然『ブランド人になれ!』というタイトルの書籍を見つけた。「あのトム・ピーターズのシリーズが復刊したのか」と思ったら、副題に「会社の奴隷解放宣言」とある。帯には「君もプロ野球選手より稼ぐプロサラリーマンになってみないか?」と書いてある。米国人のトム・ピーターズ氏の著作ではなく、田端伸太郎氏が書いた本だった。

私が偶然この書籍見つけた頃、この本を書いた田端氏はLINEの上席執行役員を経て、今のZOZO Townを運営する会社に転じたとのこと。著書には「これからは社名より個人名が強い人が勝つ」と解説があった。

田端氏のおかげなのか、今回取り上げるトム・ピーターズの 『ブランド人になれ!』 が20年ぶりに復活した。帯には以下の文言が書いてある。

田端伸太郎氏 激賞!!
「この本は俺の人生を変えた。」
あの伝説の名著が復活!

さて、本題であるトム・ピーターズの 『ブランド人になれ! (仁平和夫訳) 』について述べよう。 著者(Thomas J. Peters、1942年生まれ)は、アメリカを代表する経営コンサルタントである。海軍、マッキンゼーを経て、トム・ピーターズグループ代表。

世界の第一線から発せられる独創的でかつ分かりやすい言動は、常に世界中のビジネスマンから驚きと賞賛もって支持されている。大変有名な著書に「エクセレント・カンパニー(大前研一訳)」がある。著書は他にも「経営革命(平野勇夫訳)」「経営破壊(平野勇夫訳) 」「経営創造(平野勇夫訳)」「起死回生(仁平和夫訳)」などがあり、そのいずれもが日米双方でベストセラーとなっている。

本書は、新時代のプロフェッショナル、ビジネスマンへ向けた、「サラリーマン大逆襲作戦」と銘打った3巻シリーズの1冊目であり、仕事を含めた生き方の心構えを説いたものである。しかし、「心構え」とはいえ、現場を重視する第一線の経営コンサルタントらしく、精神論に陥ることなく、実際にどういう行動に結びつけるかといった、著者自身が体現したプロセスにまで言及し、ビジネスマンを勇気付ける。

原書の初版は1999年、邦訳は2003年。20世紀に書かれたものなので、時折、次のミレニアムでは…といった文言も飛び出すが、2021年にあっても、本書の価値は全く衰えていない。

あなたの売りものは?

本書の冒頭は、トーマス・マローン、ロバート・ローバッカーがハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した「Eランス経済の夜明け」からの引用で幕を明ける。

新しい経済の基本的単位は、会社ではなく、個人になる。仕事は、固定化した管理組織によって与えられ、コントロールされるのではなく、既存の組織外で個人事業主の集団によって遂行される。電子で結びついたフリーランサー、すなわちEランサーが、流動的な臨時のチームをつくり、製品を生産・販売したり、サービスを創造・提供したりする。仕事が終わればチームを解散して再び個人事業主にもどり、次の仕事を求めてさすらう。

トーマス・マローン、ロバート・ローバッカー「Eランス経済の夜明け」(ハーバード・ビジネス・レビュー)

ブルーカラーの生産性については、百年も前からさんざん論じられてきた。その矛先がホワイトカラーに向けられる時代に突入した。今後、現在のホワイトカラーの仕事の90%が今後10年間に、痕跡をとどめないほど姿を変える。これを著者は「ホワイトカラー革命」と呼ぶ。

リストラの嵐が吹き荒れ、ホワイトカラーの多くの仕事がコンピュータに置き換えられる。実に9割以上が今後10年から15年以内に煙のように消え失せるか、かつての面影をとどめないほどに姿を変えるだろう。

しかし、これは不幸ではない。おもしろい時代が来るのである。考えただけで背筋がぞくぞくする。思う存分、自分の力を試せる時代が来る。

これからは、自分の才覚で生きるしかない。その場その場が真剣勝負である。こう聞くとわくわくする人と足がすくんでしまう人がいるが、要は心構えであり、頼りになるのは自分の腕だけである。誰にも頼らず自分の腕だけで生きていける人を著者は、「ブランド人」と呼び、これからの時代を生きていくためには、ブランド人にならなければならない。

では、その「ブランド人」になるには?という問いに答えるのが、本書で挙げられた50のポイントである。個人をブランドとして確立するには、仕事のアウトプットとしてのプロジェクトにおいて他なく、自分の腕1本で生きていかなければならないこれからの時代の泳ぎ方を、その場面場面に応じた50のポイントにまとめ、「やってみよう」と題された総数200を超える課題と合わせて読者に突きつけている。

このコラムの一番最後に「目次概要」を載せてあるが、そのうちのいくつかの章について、著者が何を言わんとしているかをかいつまんでみる。

  • 自分の人生が帰ってきた
    いっぱしの大人が自分の人生をすべて『会社』にゆだね、『会社』の言われるままに生きる時代は終わったのだ。
  • ついに来た、ホワイトカラー革命!
    この荒海を元気に泳いでいきたいと思う者は、新しく生まれ変わろうとする。自分で自分を時代後れにしなければ、誰かにそうされるだけだ。
  • 自分の名前をブランドにする
    大企業なんてものが生まれるまえ、(中略)職を保障するものは、《抜きん出た技量》と《ネットワーキングの力》だった。(中略)世間の評判と仲間の支援がなければ生きていけなかった。その頃にまた戻ると思えばいい。
  • 自分という名の企業
    私はたしかに、この会社で働いているが、私はフリーエージェントで、ここには助っ人に来ているにすぎない。そして、その期限を決めるのは、ほかの誰でもない、この私だ
  • していることを見れば、その人がわかる
    自分の名前をブランドにできるかどうかは、署名入りのすごいプロジェクトをやり遂げられるかどうかにかかっている
  • プロジェクトのポートフォリオ
    ブランド人への道を切り開く大切な仕事、それは、お客さんを中心に動き、一個の作品となるプロジェクトしかない。それがブランド人の財産になる。
  • コミュニティづくり
    個人がブランドになる世界は、もちろん個人の力がものをいうが、それは一匹狼の世界ではない。個人ブランドを目指すのは、チームスポーツなのだ!
  • ブランドは信頼のマーク
    あの人に頼めば絶対に大丈夫ー そう言われる人がブランド人である。
  • 気持ちが暗くなったら勝てない
    プラス思考で行動しなければ、ブランド人への道は開けない。
  • 実践・リニューアル50
    とっておきの『リニューアル50』をおまけにつけちゃおう。
  • 現場に向かって走れ
    ブランド人を目指すなら、現場に向かって走れ!
  • それで、あなたの商品(うりもの)は?
    商品(うりもの)なくして、ブランドはなく、マーケティングなくして、ブランドはない。

自身がブランドになる

本書は、起業を目指す人に向けた本ではない。あくまでも組織に身を置くビジネスマンに向けたものだ。組織にいながら、組織のためではなく、自分のために仕事をし、ブランドを確立しよう、と説いている。再掲になるが「 ã‚の人に頼めば絶対に大丈夫ー そう言われる人がブランド人である」ということだ。ブランド人なのか雇われ人なのか。確かに組織の中にはどちらもいる。

先が見えない今日の日本において、または世界において、確固たる指針は、本書でも繰り返し述べられているように、自らを高め、己のポジションを確立する以外にないのではないだろうか。今日から眼の前に仕事に適用できる課題、姿勢を明確にし、まずは始めてみようと思わせてくれる点でも仕事術や成功本といった類書とは一線を画す。要するに元気が出る本なのだ。

冒頭、「あのトム・ピーターズのシリーズが復刊したのか」と思った、と記述した。そのシリーズは『トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦』のことだ。そして本書は第1弾だ。これに続く第2弾 『 セクシープロジェクトで差をつけろ! 』 、第3弾 『 知能販のプロになれ! 』 についても、そのうちに紹介しようと考えている。

原著が20年以上前のものであるにも関わらず、会社で働くビジネスマンにとって「今後の指針」と「やる気」のようなものを与えてくれる。訳者・ 仁平和夫の読みやすい翻訳にも敬意を表したい。

目次概略

『サラリーマン大逆襲作戦(1)ブランド人になれ!(仁平和夫訳) 』 の目次概略は以下の通り。

  1. 自分の人生が帰ってきた
    1a. 大きくなったら何になりたい?―あなたはもう大きくなった
  2. ついに来た、ホワイトカラー革命!
  3. 自分の名前をブランドにする
    3a. あなたまるごとハウマッチ?
  4. 四つのツール―練習教材
    4a. 自画像
  5. あなたの仕事は、くだらない仕事か
    5a. あなたも達人になってみないか
  6. さて、どうパッケージしようか
  7. 自分という名の企業
  8. 自分が大切にしているもの
  9. ビジネス力
    9a. 八つの頭をもつ怪物
  10. ビジネスというゲームはおもしろい
  11. 自分を世間にどう伝えるか
  12. 名刺を捨てられないために
  13. していることを見れば、その人がわかる
  14. 政治は汚い仕事ではない
  15. つまらない仕事を黄金に変える
    15a. くだらないことはやめる
  16. 金が積もれば、心が萎える
  17. プロジェクトのポートフォリオ
    17a. プロジェクトの魅力が、あなたの魅力
  18. 一点集中
  19. お客さんは、あなたの鏡
  20. お客さんとともに生きる
  21. 極めれば、唖然
  22. コミュニティーづくり
    22a. 新しい時代の新しい忠誠心
  23. ヘンな人と友だちになろう
  24. デザイナーにあらずんば、ブランド人にあらず
  25. 絶えず新しい品揃えを
  26. 虹の上を歩いていこう
  27. 鳥肌が立たないものなんて…
  28. あなたのステージを、みんなが見ている
  29. 上司の心得
  30. アイデンティティーは「よそ行き」ではない
  31. ブランドは信頼のマーク
  32. たかが名刺、されど名刺
  33. インターネットで何をやる?
  34. 話術は大切なブランド術
  35. 気持ちが暗くなったら勝てない
  36. リニューアル!
  37. 若返り計画
  38. 実践・リニューアル50
    38a. 誰だって厚い壁にぶちあたる
  39. 後ろ盾活用術
  40. 現場に向かって走れ!
  41. 人を見る眼があるか
  42. 志のないブランドなんて…
  43. ブランド人は「生き方の見本」を示す
  44. 権力は必要善
  45. うわさの男/うわさの女になろう
    45a. それで、あなたの商品(うりもの)は?
  46. たった一人で世界を制す
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