体脂肪とBMI(体格指数)の測定

心身の健康
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リバウンドの恐怖

以前の肥満コラム「ダイエットと隠れ肥満」でこんなことを書いた。

無理な減量をすると、確かに一時的に体重も減り、体脂肪もとれるだろう。けれども、脂肪だけでなく筋肉の量も減ってしまう。そして、一度落ちてしまった筋肉はつきにくく、脂肪はすぐに戻るという性質がある。すると、ダイエットによって体重は減るものの、体脂肪のパーセンテージは減るどころか、逆に増えてしまうというおそろしい結果を招くことがある。

肥満のこと【2】ダイエットと隠れ肥満

どんなダイエット法でも、しばらく続けているうちに、体重が全く減らなくなる停滞期がやってくる。これは、からだがそのダイエット法に順応してきた証だ。特に、体に負担の大きい過激なダイエットは、最初はすぐに体重が落ちるが、一方でストレスもたまりやすく、このような停滞期にさしかかった時にやめてしまう人が多いと聞く。

すると、からだは早くもとの状態に戻ろうと、せっせと体脂肪をためこむことになる。怖いことに、からだは以前より太りやすい状態になってしまう。急激にやせるほど、すぐに体重が増え、ダイエット前よりも太ってしまうケースも見られるという。

これが「リバウンド」というやつだ。からだはリバウンドを繰り返すと、どんどん脂肪をためこむようになる。なぜなら、体重が減る時は、筋肉も体脂肪も減るが、体重が戻る時には脂肪だけが増えるからだ。無理なダイエットによって体重が減ったとしても、筋肉だけが落ち、体脂肪の割合は逆に増えていたりする。その結果、体はがりがりなのに、お腹だけがぽっこり出ているという、ありがたくない体型になってしまうこともあるという。特に女性の下半身は、生殖器の保護などのため、脂肪がつきやすく落ちにくいといわれる。リバウンドを繰り返すことで、下半身がどんどん太ってしまうことになる。

過激なダイエットとリバウンドの繰り返しは、もちろん、健康にも悪影響がある。女性の場合、貧血や生理不順になったり、胆石、高血圧、糖尿病なども発症しやすくなるといわれている。

寝る前3時間の食事

食習慣については、人間ドックのあとの「特定保健指導」で何度も指導を受けた。特に夜の食事だ。体脂肪は、食事をする時間帯によって、余分に蓄積されやすくなるらしい。夜食は、体脂肪過多を防ぐためには、絶対避けたい習慣だという。

一日にとる食事量のうち、半分以上を夜、しかも就寝前の3時間以内に食べている人を、「夜食性症候群」と言うらしい。まさに自分のことだ。これに該当する人は体脂肪過多になりやすいという。人のからだは、夜になると、消化管の働きが活発になり、食物が栄養として小腸から吸収されやすい状態になり、余分なカロリーを蓄えやすくなるという。特に寝る前の3時間がよくないのは、からだを横たえると血液が消化器に集まり、消化吸収をいっそう高めてしまうためだそうだ。

「夜食性症候群」が増えている背景のひとつには、コンビニの普及があるとのこと。コンビニに対抗するため、スーパーマーケットも遅くまで営業しているのが現状だ。お腹がすけば、夜中でもお菓子や弁当、ジュース類、アルコールも手軽に買えてしまう。しかも、棚には体脂肪のたまりやすい食品がずらりと並んでいる。脂の多い肉や魚のフライものが中心のお弁当、フライドポテトやポテトチップなどのスナック、ケーキ、糖分がたっぷりの清涼飲料水・・・。

食品を夜中に買って食べる習慣のある人は、目覚めが悪く、朝食をとらない一日2食型の生活を送っていることが多いという。すると、自然に食事の間隔が長くなり、空腹感が増すため、一度にたくさん食べ過ぎてしまいがちになる。こうしてまた、体脂肪が余分に蓄積されるという悪循環を招いている。

体脂肪の測定

肥満とは、体脂肪が正常な範囲を超えて、増加した状態を指す。では、体脂肪を測定するには、どうしたらいいのだろうか。

実は、体脂肪を正確に計測する確実な方法は今のところ見つかっていないらしい。それこそ、体を切り開いて、体組成を観察する以外には完璧に計測するのは不可能。今世紀になって、医学的な死体解剖によって、体脂肪の測定が行われているが、それにより、体脂肪は人間の体組成のうち、15%前後を占める成分であること、また、女性のほうが脂肪が多いことが解明された。なお人体の主要成分は全体の60~65%を占める水分、残りの15%はタンパク質だ。

体脂肪率とは、体内の脂肪がからだの構成成分(水分・たんぱく質・ミネラル・糖質・脂肪)の中で占める割合のことだ。男女別の体脂肪率の標準は、男性 15~20% 、女性 20~25% といわれている。

体脂肪を測定するための、より確実な方法には、体密度法、体水分法、ヒューマンカウンターによる体内放射性カリウム測定法などがあるらしい。ただし、操作が複雑で、一般の人が使えるレベルのものではないらしい。現実的には、乗るだけで体重と体脂肪率を測定する体重計や両手で体脂肪率がわかる測定器具が発売されているので、それを利用することになるだろう。

家庭での体脂肪率測定については、後述する。

体脂肪率を測定する器具がない場合は、身長と体重から標準体重を割り出し、肥満の度合いを判断する方法を使う。この計算もいくつかあるが、 前回の肥満コラム「ダイエットと隠れ肥満」 で書いた通り、日本肥満学会ではBMI法を提案している。前回コラムの繰り返しになるが、この学会では肥満症を「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態で、体格指数(BMI)25以上のもの」と定義している。

家庭用の体脂肪計

健康ブームの流れを受けて、今では、手軽な家庭用の体脂肪計も開発され、販売されている。家庭用の体脂肪計は、電気を通さない脂肪の特徴を利用して、体に微弱な電流を流して、体内に起こる抵抗を測定。体水分量から除脂肪体重、次いで体脂肪率を測定する方法をとっている。

体脂肪率の測定も含めた『体組成計』で有名なタニタは、その測定原理を公開している。

タニタの体組成計は乗るだけで体組成をはかることができますが、これは「生体電気インピーダンス法」という分析方法を応用して計測を行っているためです。体組成計では予め入力した身長や年齢、性別といった情報と、実際にはかる体重とからだの電気抵抗値(インピーダンス)を組み合わせることで簡単に体組成をはかることが出来るのです。

計測にはからだの電気の通りやすさをはかっているのですが、実は筋肉内の電解質の電気特性(電気の通り具合)は、年齢や運動習慣などにより個人差があり一様ではありません。従来の生体電気インピーダンス法では、この個人差を電気的に捉えることは出来ませんでした。

しかし、タニタでは「リアクタンステクノロジー」と「マルチ周波数測定」という技術を用いて、筋肉内の電解質の個人差を電気的に反映させることに成功しました。タニタの体組成計はこの技術を用いることにより、従来の生体電気インピーダンス法より高精度に体組成を計測できるようになっています。

引用:タニタ 健康のつくり方『体組成計の原理

以前の測定の仕方は、手の甲と足の甲に電極を置いて、微弱な電流を通じ、同時に同じ側の手首と足首に老いた電極間の電圧から抵抗を測定し、そこから体脂肪の割合を出していた。最近では、電極を手足に装着する代わりに、両手または両足に微弱電流を通じ、体脂肪を測定する機器も販売されている。

手でハンドルを握って測定するタイプと、ただ計測器の上にのるだけで測定する2タイプがある。300g程度の軽量コンパクトなタイプもあり、置き場所に困ることもない。測定方法が簡単で、数秒で結果がわかり、体脂肪量と体脂肪率が表示されるなど、手軽さが魅力だ。価格は1~2万円台が一般的。

測る時間や条件は、毎日一定にしたほうが正確だという。また、なるべく下着に近い状態で測定するのがよいとわれいている。午前中は体脂肪率が高く表示されるので、夕食前、あるいは、入浴前がベター。入浴後の場合、水分量が関係するので、からだをよくふいてから測るようにする。

肥満度を測るBMI

肥満の基準が国際的に統一されたのは、1970年代のこと。1973年にアメリカで開催された国際会議をきっかけに、多数の指数の中から「BMI(ケトレー指数)」が採用されるようになった。BMIは、1869年に、ケトレーが「正常な体格で身長の異なる成人の体重は、ほぼ身長の二乗に比例する」と発表したものを応用した指数だ。

BMIの特徴は、体脂肪量との相関度が、他の指数と比較すると高い点にあります。つまり、BMIで肥満と見なされた人は、体脂肪においても肥満である確率が高いということだ。

国際連合の専門機関 WHO(世界保健機関)では、1960年に「先進国成人の平均的なBMIは、男女ともに22」と定めている。60年以上前の話だ。このBMIが肥満測定法として日本で普及・定着してきたのは比較的新しく、1990年代に入ってからのこと。 前回の肥満コラム「ダイエットと隠れ肥満」 で表を示した通り、現在、日本肥満学会では、男女とも普通体重を18.5 ≤ BMI < 25.0としていて、標準体重のBMIを22とし、+10~20%未満をやや肥満、+20%以上を肥満としている。

インターネットで検索すると、自分の身長と体重からBMIを計算するサイトや、適正体重を計算してくれるサイトが数々出てくる。まずは自分のことを客観的に知っておこう。参考までに、こうしたサイトのひとつに掲載されているBMI早見表を紹介しておく。

引用:みんなの知識ちょっと便利帳「BMI 早見表・体格指数早見表
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