水の特性を活かした水中運動

前向き人生
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アクアエクササイズの効用

今回は、水の特性を活かしたアクアエクササイズ(水中運動)にふれてみたい。水中運動は古代ローマ時代にはすでにあったといわれる。当時のローマ人たちは水によって身体を鍛え、戦士たちは戦いによって傷つき弱った身体を、水のリハビリテーションで癒していたらしい。日本でも温泉療法はかなり昔から行われている。現代では、こうした先人の知恵に学び、水中運動を健康増進と病気療養に活用することが提唱されている。

ダイエットについても水中運動は非常に有効だ。それには、水の特性をうまく利用するわけだが、主に「水圧」「水の抵抗」「浮力」「水温」の4つが、水中運動の効用だという。以下で簡単に見てみよう。

水圧

水圧は水中での運動時の心臓の負担を和らげてくれる。水圧がかかった状態は、下半身から心臓へと戻る血液の循環が良くなる。また、胸部にかかる水圧が適度な負荷となり呼吸筋を鍛える効果もある。心肺機能をアップさせるのに効果的だといえる。

水の抵抗

水の抵抗は筋力アップに非常に効果的だ。水の抵抗は空気の800倍とも言われている。さらに、水の抵抗は、動きが速いほど大きくなり、ゆっくりと動かせば小さくなる。水の抵抗を利用すれば、体にかかる負荷を低くしたり高めたり、自分の意志で自由にコントロールできるということになる。

水中ではただ歩くだけでも全身に水の抵抗を受けるため、普段は使わない体中の筋肉を使うことになる。これによって、意識しなくても全身をバランスよくシェイプすることが可能となる。

浮力

浮力は、運動時に膝や関節にかかる負荷を和らげてくれる。ダイエット目的で運動をようとすると、普段の運動不足と、体重の負担によって、筋肉や関節、筋を痛めることがある。水中では浮力によって体重が陸上の約1/3~1/10程度まで軽くなるため、体への負担も軽くなり、伸び伸びと効率よく動ける。
また、力を抜いて水に浮いているだけで、筋肉がリラックスし血液循環が良くなるため、高いリラクゼーション効果を得られ、ストレス解消も期待できる。

水温

水温により水の中で体温を奪われてしまうと、脂肪燃焼が促進される。私たちの体は、体温より低い水温に対して、体内のエネルギー生産を高めることによって体温を上げ、維持しようとする。その代謝量は陸上で動く時の約1.5倍といわれている。 アクアエクササイズがシェイプアップ効果の高いエクササイズといわれるのはこれが理由だ。さらに、運動によって上昇した体温を水が下げてくれるため、長時間のエクササイズが可能になる。

目隠し効果

健康的なダイエットに効果的な運動があったとしても、「ちょっと恥ずかしい」と感じるとそれが大きな障害となることがある。エアロビクスやウォーキング、ジョギングは他人の目にさらされるため、恥ずかしさを感じてしまっては続けるのがむずかしい。水中運動の効果のひとつは「目隠し」できることだ。水中では自分の動きが他人に見られない。たとえ、アクアビクスで周囲の動きについていけなかったり、足が思うように上がらなくても、自分のペースで誰の目も気にすることなく行うことができる。

アクアビクス

水中で行うアクアビクスは、陸上で行うエアロビクスとは違い、水の抵抗による負荷があるにもかかわらず、浮力によって間接や筋肉への負担が少ないのが最大の特徴。体への負担を最小限にしたうえで、より大きな効果が望める。

ほとんどのスポーツジムではアクアビクスのクラスを設けているが、曜日や時間帯によっては参加できないので、まずは自分一人でもできる簡単なアクアビクスの基礎を知っておこう。音楽などに合わせて行うのが望ましいが、それがなくても自分のペースで、プールの隅や歩行用ゾーンで気軽にできる。

まず全身のシェイプアップには水中ジョギング。姿勢良くまっすぐ立ち、肩の力を抜いて水中でジョギングする。膝を高く上げ、腕を大きく振る。水が肩までつかるようにすると、負荷が大きくなり、さらに効果的だ。

次にウエストシェイプ。両腕の肘から下を水面に水平に浮かし、膝を軽くゆるめてジャンプする体勢になる。両脚でジャンプして、ウエストから下をひねりながら着地する。この時、両腕は体をひねった方と逆に向かって水をかくようにしよう。お尻を突き出したり、背筋が曲がらないように注意し、これを同じ要領で左右行う。脚と二の腕が同時にシェイプできる。

最後は、軽くジャンプしながら、片脚をかかとから前にまっすぐけり出し、その脚をあげたまま着地する。足が左右に振れたり、膝が曲がらないように注意。この時、けり出した脚と反対の手を肘から下で水を押すよう意識して腰の横まで下げる。

これらの動きは休まず連続して行なうことでより効果があがる。だいたいウォーミングアップのストレッチや水中歩行などを含め30~45分くらい動き続けるとよい。また手で水をかく時は、手のひらを広げ、より負荷がかかるようにするなど、自分でコントロールするのもいいだろう。陸上で行なう運動と違い、動くだけで消費カロリーは高く、負担も少ないので、自分流に楽しんで動いてみよう。

水泳は理想の有酸素運動

体内に酸素を取り込むことで脂肪を燃焼できる「有酸素運動」という言葉を聞いたことがあるだろう。中でも、息継ぎで酸素を取り入れながら行なう水泳は代表的で、理想的な有酸素運動。また体全体を動かすため、全身がほどよく引き締まり、美しくやせることが可能といわれる。

ダイエット目的で水泳をやる場合、泳ぎ方はどんな方法でもかまわないし、方法によっては部分ヤセも可能だといわれる。

例えば、最も一般的なクロール。これは全身のシェイプアップに効果的。長時間泳ぐには腕の力で泳ぎ、水をしっかりとかく事がポイント。次に平泳ぎだが、これは脚全体の筋力が有効に使われるので、脚のシェイプアップに効く。ただ、水をかく時水面に大きく上半身を出すと、腰痛の原因になってしまう。平泳ぎでは上半身の力を抜き、手脚が伸びた時に手先に重心をかけ、おへそを引き上げるように意識すると腹筋も鍛えられます。背中、二の腕を引き締めるには背泳ぎだ。水をかく際、手のひらでしっかりとかき、背中を意識するようにすることで、背中と二の腕が同時に鍛えられる。

泳ぎがあまり得意ではない人にも方法はある。ビート板を使った「ばた足」だ。顔を水中につけなくても構わない。しっかりと呼吸をして、脚を太ももの付け根からゆったりと動かそう。早く泳ぐことが目的ではないので、ゆっくりと急激に疲れない程度に行なう。これで自然に力の入る腹筋と、動かしている脚の両方が引き締まる。

とにかく水泳は前述の「水圧」「水の抵抗」「浮力」「水温」によって脂肪が燃焼しやすく、筋肉を鍛えやすい運動。あとは有酸素運動の特徴である「時間」を意識すればいい。体脂肪が体内で燃焼し始める目安を、運動開始後20分だと考えよう。水泳をやる場合、最低でも20分以上続けるようにする。競技に出るわけではないので、力みすぎず、ゆったりと泳ぐことを楽しめばよい。

プールが無理ならお風呂

ここまでのアクアエクササイズの話は「プール」を前提としたが、そもそも通える範囲にプールが無いとか、忙しくてプールに行く時間がない、水中運動を始めても3日坊主でなかなか続けられないという場合もあるだろう。そんな人におすすめなのが入浴時間の活用だ。大抵の人が毎日入るお風呂の時間をエクササイズの時間と決めてしまえば、いやでも忘れない。おまけに入浴で体が温まっているので発汗効果も促進される。

まず湯船のお湯は心臓に負担がかからない39度ほどの、ぬるめに設定する。リラックスするために入浴剤などをいれてもいい。普通に体を洗い、全身がよく温まったら湯船にお尻をつけて座る。両足を揃えてふくらはぎのあたりを手で持ち、膝を伸ばしながら足を水面の上に上げる。丁度腰を中心に体と足がVの字になるようにし、このV字バランスを5~10秒キープ。これは腹筋に効果があるので、腹筋が使われていることを意識して行なう。

次に湯船の中で体育座りをする。片脚の膝を真っ直ぐ伸ばし両手で抱え、膝を胸につける感じで引き寄せる。これは下腹部のたるみに効果抜群なので、左右交互20回行なう。次に腹は湯船の中で体育座りのまま、右手で体の右側の湯船の縁につかまり、左も同じようにして体を支える。手はそのまま、上半身だけを左にひねります。ウェスト部分の伸びを意識しながら、10~15秒その姿勢をキープ。右側も同様に左右10回行なう。

最後は脚だ。湯船の中に立ち、片足をしっかりふんばり、反対の足でお湯をかき混ぜる。内回し、外回しそれぞれ10回ずつ左右の足で行なう。水の抵抗が想像以上に足を鍛えてくれるはずだ。

お風呂でのエクササイズの注意点は3つある。それは、のぼせないようにすること、水分をしっかり補給すること、足下が滑りやすいので、動く時は壁などにつかまるようにすることだ。

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