ダイエットに”運動”は必要なのか

心身の健康
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美しいダイエットに運動は不可欠

ダイエットで減量が必要になったとき、やせるためには大きく分けてふたつの方法がある。ひとつは食事制限。もうひとつが運動だ。もちろん、食事制限だけでも体重は減る。成功者の中には「食事8割、運動2割」と言う人もいる。運動で実際に減るカロリーは数字だけ見ると、苦労の割にたかがしれているように感じでしまう。

ダイエットに運動は必要なのだろうか。必要だとするとなぜなのか。

人間の体は極端に食事の量を減らすと、少ないエネルギーでも生命を維持できるように、基礎代謝量(何もしないでも消費するカロリー)を低下させてしまう。その結果、食事制限で一時的にはやせた場合、以前と同じ食事をすれば、生命維持のために栄養の吸収がよく、基礎代謝が低下している体はリバウンドし、逆に以前より太ってしまうといわれる。

また、脂肪が筋肉によって支えられることで、美しい姿勢とプロポーションを維持することができる。同じだけ体重を落としても、脂肪だけが減った場合と、筋肉が減ってしまった場合とでは、当然見た目も違ってくる。筋肉がついて脂肪が燃焼されれば、体重の減少効果以上に全身がきれいにシェイプアップされるメリットがあるのだ。ところが、食事制限によって減るのは、残念ながら脂肪ではなく筋肉。脂肪は筋肉を動かすことによって、最も効率よく燃焼されるので、筋肉がおちてしまっては、ますますやせにくい体質になってしまう 。

一般的には運動を続けると、体の基礎代謝量が高まり、自然にやせやすい体質になるといわれる。日常の立つ、座る、歩く、仕事をするなどの行為でも、やせる効果があらわれる。さらに、運動をしていると自立神経の働きが活発になるため、同じ食べ物を食べても、運動していない人より、体熱として消費されるエネルギー量が増加する。つまり、食べたものが脂肪になりずらいということだ。運動は直接脂肪を燃やすばかりでなく、体を脂肪が燃えやすいように作り変え、自然に脂肪を落としてくれる。だから、美しく、カッコよく、効率的にやせるために、運動は必要不可欠といえよう。


バランスの良い食事との併用

減量が必要だと一口に言っても、さまざまな人がいる。運動不足の人もいれば、運動はしていても、それ以上にカロリーを摂取している人もいる。その人によってまたダイエット方法もさまざまだ。しかし、どんな人も運動によってやせやすい体質を作ることや、新陳代謝を高め、脂肪燃焼に必要な筋肉を鍛えることは必要不可欠。運動は、ただその運動量のカロリーが減るだけでなく、新陳代謝を高め、日常の動作でもより多いカロリーを消費することを可能にする。では、運動さえしていれば好きな物を、好きなだけ食べてもいいのだろうか。

脂肪1キロの燃焼に必要な運動量は約7,000kcal。一方で、急ぎ足で30分歩いて消費するエネルギーは約80kcal。数字だけ見ると、運動でやせるなんて途方もないことのように思えてくる。余分な脂肪を減らし、理想のプロポーションに近づきたい人は運動にプラスして、現在よりも摂取カロリーを下げることも大切だ。

問題は摂取カロリーを下げるのに偏った食事制限をすると、私たちが生きていく上で大切な筋肉や内臓などの実質部分を減少させてしまうこと。あくまでも必要な栄養素を摂取し、心身共に正しい機能を果たすための正しい食事が求められる。さらに、絶食などの必要以上の食事制限は、体が生命維持のため、自然に栄養を吸収しやすくし、新陳代謝も悪くしてしまうため、逆に太りやすく、リバウンドなどもおこしやすくなる。

それになんといっても、ダイエットの大敵は「ストレス」。常に空腹だったり、好きな物を全部我慢するとなっては、ストレスがたまるいっぽうで、決して長続きしない。最も効果をあげるダイエットは、食べないダイエットではないのだ。やせやすい体質を作る運動と、その効果をより高めるための、カロリーをおさえた、バランスのよい食事を無理なく併用したダイエットが理想の体型への一番の近道といえよう。

きつい運動なんて不必要

手っ取り早くダイエットするには「きつい運動をして、どんどんカロリーを消費すればいい」と考えるかもしれない。実際、ウェイトリフティングなどの筋肉を鍛えるキツイ運動は、時間あたりのエネルギー消費量が大きいので、いかにもやせるような気がするものだ。ただ、目的が「脂肪を燃焼する」いうことならば、きつい運動はあまり効果的とはいえない。

筋肉は身体のちょっとした動きでも使われ、その主なエネルギーは脂肪と糖質。このうち糖質は酸素がなくても燃焼され、筋繊維に直接とりこまれ、筋肉を太くする。脂肪は酸素があることで筋肉を動かすエネルギーとして燃焼される。筋肉は動かし始めると、すぐに脂肪を燃やし始める。ここまで聞くと「だったらきつい運動がいいのではないか」と思うかもしれない。

しかし実は、脂肪の燃焼には順番があり、まず最初に血液中の脂肪が燃え始める。それを使い切ったあとに皮下脂肪や、内臓脂肪が燃焼され始める。この順番を考えると、皮下脂肪が燃焼し始めるまでゆっくりと行える運動の方がダイエットには適しているといえる。

また、筋肉を動かし脂肪を燃焼するには酸素が必要不可欠。酸素が不足すると脂肪はうまく燃焼されない。ウェイトリフティングのように力む運動や、短距離走のような瞬発力を使う運動は、瞬時にエネルギーを必要とするため、酸素を使わず燃焼する糖質をエネルギーとして筋肉が強化される。これに対して、持久性のあるスポーツは長期戦なので、血液中から酸素を十分に取り入れ、脂肪を燃やしてくれる。

ダイエットに最適なのはきつい運動よりも「有酸素運動」とよばれる水泳、ジョギング、ウォーキングなどのスポーツ。一見あまり筋肉を使わず、物足りないような気がするかもしれないが、実はラクな有酸素運動を長くするのが、一番脂肪燃焼には効果的だ。

軽い有酸素運動を20分

美しくやせるということは、無駄な脂肪を減らし、正しい筋肉をつけるということ。では実際に、脂肪はどのように減少しするのだろうか。

私たちの体にはあらゆるところに脂肪がある。血液中の脂肪、皮下脂肪、内臓脂肪などだ。これらの脂肪は、筋肉を動かす時にその動力のエネルギーとして消費される。車でいうならガソリンと同じ役割だ。単純に考えると筋肉を使えば、使うほど脂肪は減少するということにる。ただ、これらの脂肪の減少には優先順位があることがわかっている。前述の通り、筋肉を使用し始めて最初に使われるのは血液中の脂肪。次にそれを使い切ると、初めて皮下脂肪や内臓脂肪といった体脂肪が減少をはじめる。血液中の脂肪を使い切り、体脂肪が燃焼を始めるまでの時間は平均的には20分位とされている。しかもその脂肪は、筋肉内に十分な酸素がある状態で初めて燃焼される。だから、体内に酸素をたっぷり取り入れられる「有酸素運動」がダイエットに適しているといわれる。

しかし、いくら有酸素運動をしても息があがってしまいゼエゼエ、ハアハアと酸欠になるようなハードなやり方では意味がなく、息が上がらず、心臓がちょっとドキドキする程度の軽めの運動が望ましい。具体的な「有酸素運動」とは、持久性が高く、酸素を取り入れながら行うジョギング、ウォーキング(早歩き)、水泳、エアロビクスなどだ。もちろんこれら全て、息があがらないように、ゆっくり呼吸を十分することが大切。余裕がある場合は、運動の内容をきつくするのではなく、程度はそのままで、時間を長くする方がより効果的といわれる。

酸素が十分供給されている「有酸素運動」をしても、減らしたい皮下脂肪などが、燃焼し始める20分を超えないと効果はなく、またいくら20分以上の運動をしても、それが十分に酸素を取り入れられる程度の軽い運動でなければ、ダイエットには効果がない。

脂肪を燃やす赤い筋肉

筋肉組織は、血管があまり行き渡っていないため白く見える「白筋」(はくきん)と、毛細血管が十分に行き渡り、赤く見える「赤筋」(せっきん)の2種類が交ざりあってできている。

筋肉はその動きのエネルギーとして、主に体内の糖質や脂肪を使う。糖質は酸素がなくても燃焼し、瞬発力に優れた筋肉を強化する。一方脂肪は燃焼時に酸素を必要とし、燃焼され始めるのに運動開始から約20分以上の時間がかかる。血液中の酸素を利用できない「白筋」は瞬発力には優れているが、疲労が早く、脂肪燃焼の能力はない。ところが「赤筋」は脂肪燃焼に不可欠な血液中の酸素を取り込む能力が高く、弱いけれども疲れにくいので、長く一定の力を発揮することが可能。実際、同じ時間あたりの脂肪の燃焼率を比べると、「赤筋」は「白筋」のなんと2倍以上だという。

ジョギングや水泳、エアロビクス、ウォーキングなどの有酸素運動で主に使われるのは「赤筋」。これを「白筋」を使うウェイトリフティングなどの筋肉強化型の運動から比べたら、効果の程は単純に考えても2倍ということになる。しかもこれらの運動は「白筋」を「赤筋」に変え、脂肪が燃焼しやすい筋肉をふやす効果がある。

見た目の美しさだけでなく、生活習慣病の原因でもあるといわれる、内臓脂肪の多くは「赤筋」に運ばれて燃焼されるため、健康面から見ても「赤筋」は大変優れた役割を果たしている。「赤筋」は「白筋」のようにきつい運動をしなくても、同じ姿勢を続けたり、歩くといった日常的な動作でも使われ、鍛えられる。おなか回りの脂肪や、やせていても内臓脂肪が気になるような人は、1回につき20分以上の軽いウォーキング(早歩き)程度の運動や、正しい姿勢を保つなどの日頃のちょっとしたこころがけで、「赤筋」を鍛え、消費しづらい内臓脂肪を追放することが可能となる。


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